冬に流行・悪化する病気の予防と治療法

冬になるとインフルエンザやノロウイルス、RSウイルス、溶連菌感染症などが流行したり、脳梗塞や心筋梗塞、痔などが発症、悪化することが多いですが、今回はそれらの原因からそれぞれの予防や治療法をご紹介いたします。

冬に流行・悪化する病気の原因

冬場は病気を発病したり、持病が悪化したり、体調が悪くなる人が多いですが、その原因は主に下記の3つが原因とされています。

  • 空気が乾燥する冬場はウイルスなどの水分が乾燥した空気にさらされることにより蒸発し、軽くなることで浮遊しやすくなる。
  • 冷たい空気により体温が低下しやすい冬場は、水分の摂取量が少なくなりがちで、鼻や喉など気管支の粘膜が乾燥したり、代謝が悪くなり、免疫力が低下する。
  • 寒い冬は自律神経のバランスが崩れやすく、血管を収縮させる働きをもつ交感神経が優位になり、血圧が上昇する。また、交感神経は緊張神経とも呼ばれていて、緊張状態が続くことにより、気づかないうちにストレスが蓄積される。

これらの原因から、それぞれの病気の予防と治療法を紐解いていきましょう。

ウイルスや細菌による冬の病気の予防と治療法

冬場は空気の乾燥によりウイルスなどが浮遊しやすくなり、気温の低下により人の免疫力も低下するので、毎年のように感染症が流行します。

一番大切なのは予防ですが、感染した場合の対処法や治療法も合わせてご紹介いたします。

インフルエンザ

毎年12月から1月にかけて流行するインフルエンザは、感染すると38℃以上の急激な高熱や強い倦怠感、関節痛などの症状が出ます。

また肺炎や脳炎などの合併症を引き起こす非常に危険な感染症です。

感染から発症までの潜伏期間は1日~1週間とされていて自覚症状がほとんどなく、インフルエンザウイルスも変異するので、毎年11月中に予防接種を受けることが一番の予防法となります。

対処法

発症した後5日、解熱した後2日を経過するまでは二次感染させないためにマスクを着用し、外出を控えます。

治療法

病院で処方されたタミフル、リレンザ、イナビルなどの抗インフルエンザウイルス薬を服用し、脱水症状が起こらないように水分補給を行い、十分な睡眠をとり安静にすることで早期回復が見込めます。

ノロウイルス

毎年11月~2月にかけて流行するノロウイルスは食中毒患者数の大半を占めており、感染すると高熱が出たり、酷い嘔吐や下痢などの症状が出ます。

ノロウイルスは経口感染、接触感染、飛沫感染、塵埃感染が主な感染経路となっており、水道水に含まれる塩素や消毒用アルコール、逆性石鹸に抵抗性があり、熱への抵抗性も強いウイルスです。

次亜塩素酸ナトリウムを使用するか85℃以上の熱湯で1分以上加熱して失活化させることができます。

マスクの着用、次亜塩素酸水での十分な手洗い、次亜塩素酸ナトリウムや85℃以上の熱湯を使用して調理器具などの手入れ、排泄物や吐物を正しく処理することで予防に繋がります。

対処法

ノロウイルスは感染してから1週間前後は体内にウイルスが残るとされていますので、症状が治まってからも二次感染を防ぐために外出を控えます。

下痢止めや吐き気止めは回復を遅らせる可能性があるので、注意が必要です。

治療法

現在のところノロウイルスには抗ウイルス薬がないので、脱水症状が起こらないように十分に水分補給を行い、嘔吐や下痢を我慢せずに積極的に体内からウイルスを出すことで早期回復が見込めます。

RSウイルス

毎年秋から冬にかけて流行するRSウイルスは感染力が非常に強く、ほとんどの人は生後2歳までの乳幼児のうちに感染し、鼻水や咳、発熱など風邪に似た症状が出ますが、2~4割の乳幼児は細気管支炎や気管支炎、肺炎などを引き起こし、喘鳴や多呼吸などの症状が出るのが特徴です。

生後6ヶ月以内の乳児や未熟児、循環器系の疾患を有する幼児や高齢者は重症化する傾向があり、無呼吸発作や急性脳症、中耳炎などの合併症を引き起こす場合もありますので、注意が必要です。

大人になっても感染することがありますが、再感染の場合は比較的に症状は軽くなります。

RSウイルスの予防にはアルコールによる消毒が効果的とされていますので、十分な手洗いをした後にアルコールで手の消毒をし、マスクの着用とうがいを徹底しましょう。

予防接種ではありませんが、重篤な下気道疾患が発症する恐れのある乳幼児には抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体のパリビズマブを投与されることがあります。

対処法

RSウイルスは潜伏期間が2~8日、症状が治まってからも1~3週間は体内にウイルスが残るとされていて、再感染した場合は感染に気付かないこともありますので、少しでも鼻水や咳が出る場合にはマスクを着用し、二次感染を防ぎましょう。

特に流行時期に生後6ヶ月以内の乳児や未熟児、循環器系の疾患を有する幼児や高齢者に近づく場合にはマスクの着用と手洗い、アルコールによる消毒を徹底しましょう。

治療法

現在のところRSウイルスの抗ウイルス薬は開発途上にありますので、主な治療法は解熱薬や気管支拡張薬などの対症療法となります。

水分と栄養を補給し、十分な睡眠をとり安静にすることで早期回復が見込めます。

溶連菌感染症

毎年冬から初夏にかけて流行する溶連菌感染症は溶血性連鎖球菌という細菌による感染症で、咽頭炎や扁桃炎、猩紅熱などを引き起こし、高熱や喉の痛み、発疹、イチゴ舌、皮膚落屑などの症状が出るのが特徴です。

また溶連菌にはリウマチ熱や急性糸球体腎炎を引き起こしやすい株もあり、その他にも中耳炎や副鼻腔炎、伝染性膿痂疹、肺炎、菌血症など様々な合併症を引き起こす場合があるので、注意が必要です。

主な感染経路は飛沫感染ですので、マスクの着用、手洗い、うがいを徹底することで予防に繋がります。

対処法

二次感染を防ぎ合併症を予防するためにを必ずマスクを着用し、医師に指示に従い外出を控えましょう。

治療法

主な治療法は抗生物質の服用で、合併症がなければ2、3日で症状は治まっていきます。

しかし、完全に除菌されていないと再発の恐れがありますので、医師に指示された期間中は用法、容量を守って服用を続けてください。

自律神経の乱れによる冬の病気の予防と治療法

冬は日が短いので、日光を浴びる時間が少くなり気持ちが沈んだり、寒さのせいで自律神経のバランスが崩れやすく、血管を収縮させる働きをもつ交感神経が優位な状態が続きます。

交感神経が優位な状態が続くと、血圧が上昇したりストレスが蓄積され、様々な病気を引き起こします。

脳梗塞・心筋梗塞

脳梗塞を含む脳血管疾患は日本の死因4位、心筋梗塞を含む心疾患はがんに次いで日本の死因2位となっています。

これらの病気は冬に発症することが特に多く、その大きな原因は以下の2つです。

  • 体温が低下しやすい冬場は水分の摂取量が少なくなりがちで、体の水分量が減ると血液が濃くなり血流・血行が悪くなる。
  • 寒さで血管を収縮させる働きをもつ交感神経が刺激され、血圧が上昇する。

予防法としては十分な水分補給と以下の危険因子をなくすことです。

  • 喫煙
  • 偏った食生活
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • 過度な疲労・ストレス

治療法

これらの病気には血栓溶解薬などの薬物治療から、CEAやPTCA、バイパスなどの手術など様々な治療法がありますが、脳梗塞の場合には後遺症が残ることが非常に多く、理学療法や作業療法、言語療法などのリハビリテーションを早期に行う必要があります。

痔は大きく分けて、いぼ痔(痔核)、きれ痔(裂肛)、あな痔(痔瘻)の3種類あり、痛みや出血、膿が出て下着が汚れることもあります。

特にあな痔(痔瘻)は長い間放置しておくと痔瘻ガンになることもありますので、注意が必要です。

痔の原因は下痢や便秘、いきみ過ぎ、座りっぱなし、アルコール、香辛料、喫煙など様々ですが、特に冬は冷えにより肛門や肛門周辺の血流・血行が悪くなったり、ストレスを蓄積することで免疫力が低下し、発症したり悪化しやすくなります。

アルコールや香辛料などの刺激物を避け、栄養バランスのとれた食生活を送り、体を温めて血流・血行を良くし、十分な睡眠をとることで予防に繋がります。

治療法

いぼ痔(痔核)ときれ痔(裂肛)は塗り薬や座薬などの保存的治療で治ることがほとんどですが、症状によっては手術が必要になることがあります。

あな痔(痔瘻)は他の痔と違い、保存的治療の効果がほとんどないので手術するしかありません。

まとめ

冬はウイルスが元気になり、人の免疫力が低下しやすいので、感染症が流行します。

感染しないようにマスクの着用や手洗い、うがいを徹底し、日頃から予防することが大切です。

もし感染してしまった場合や感染の疑いがある場合には速やかに適切な治療を受け、二次感染と合併症の予防に努めましょう。

また冬場は寒さによる自律神経の乱れや水分摂取量の低下により、血流・血行が悪くなり、脳梗塞や心筋梗塞、痔などが発症、悪化することが非常に多いです。

これらの血流・血行障害が原因で起こる病気は生活習慣を改善し、適度な水分補給を行うことで予防に繋がります。

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